た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

「感情」の地政学

「感情」の地政学――恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか

「感情」の地政学――恐怖・屈辱・希望はいかにして世界を創り変えるか

「感情」というのは多くの場合再現不可能ですから、社会科学である地政学には通常含まれないのですが、この複雑な現代社会を読み解くにあたって、屈辱・恐れ・希望の三つのムード*1がどのようなことを表わし、政治的・社会的・文化的衝突にどのような影響を与えているだろうか、ということについて考察しています。なんだか難しいけど、要するに以下のようなことです。

  • 屈辱とは「そんなことできるかな?できるはずがない。」という気持ち
  • 恐れは「なんてことだ。世界がこれほど危険な場所になるとは。どうすれば身を守れるだろうか。」という気持ち
  • 希望は「やりたい、やれる、やろう」という前向きな気持ち

ま、ただ、こういう過度な単純化は危険だから避けるべきだ、とも語っていましたが。
著者のドミニク・モイジ氏は、父がホロコーストを生き延びた世代の国際政治学者だそうで、オラなんかは国際政治学者、と聞くと、どうしても↓
http://www.ikebukuroh.com/img/masuzoeyoishi.gif
の人を思い出し、ちょっとアヤシイ感じがしちゃうんだけど、もちろんこのモイジ氏の場合、そんなアヤシイ感じはしません。立派な著書だと思います。翻訳書だから、読むの疲れたけど。
翻訳の質は、まぁこんなもんなんでしょうね。可もなく不可もなく、といった具合です。

*1:気分、と訳せば良いかな?