た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

においが心を動かす

 ある日の返却本?

嗅覚は、いくつもある感覚のなかの継子*1である。

 wikipedia:イマヌエル・カント曰く、

器官感覚のうち、最も不快で最もなくても困らない感覚はどれか?嗅覚である

だそうだ*2

においはとても変わりやすい感覚だ――人によってちがうだけでなく、同じ人でも時によって異なる

 においに関する研究は、1991年のwikipedia:リンダ・バックwikipedia:リチャード・アクセルの研究に始まるんだとか。つまり、歴史は深くはない。こういうのもあるにはあるそうだが:味とにおい―感覚の科学ー味覚と嗅覚の22章

 wikipedia:パトリシア・チャーチランドの表現だそうだが、

心を理解したいなら、脳を理解する必要がある

 

知覚は世界を映しているのではなく、解釈するのだ

 

主観性は客観的測定法の欠如を意味する

 一文で要約するなら、嗅覚の科学史

においはつねに存在論の問題を提起してきた

なんだと。

中世を通じて、社会が罪を感覚と結びつけていたとき、嗅覚は悪者にされていた

 本書によると、wikipedia:カール・フォン・リンネは何でも分類するのが好きで、同僚も分類して並べることに情熱を燃やしてたんだとか。

 こういうのもあるとか:匂いでコミュニケーション! 化学物質を駆使する昆虫の世界 | 夢ナビ講義 | 夢ナビ 大学教授がキミを学問の世界へナビゲート(化学擬態)

 一節をググるとこんな本書の記事発見:『においが心を動かすーヒトは嗅覚の動物であるー』|Soli Aromatherapy

 「冷浸法」をググるとこれを紹介された:wikipedia:アンフルラージュ

 そっか、wikipedia:アントワーヌ・ラヴォアジエってフランス革命の犠牲者だから、比較的早死にしてるんだ。

 尿素の合成は、無機化合物から有機化合物を生み出す記念碑的出来事だったんだと:ウェーラーは何をしたのか(PDF)

 wikipedia:ジークムント・フロイトは、

人間文明の興隆を二足歩行の導入と結びつけ、鼻が地面から離れた時点で、人間の心理におけるにおいの重要性が弱まったと考えた

 この人の名も出てきた:wikipedia:ジョヴァンナ2世 (ナポリ女王)

においに対する高度な感受性は、しばしば神経の異常な状態と関係がある

 wikipedia:丁度可知差異

 ま、でも確かにニオイの研究は大変そうだね。単位(客観的な指標)がないから:ニオイセンサ | ニオイの測定(評価)方法 視覚の研究に関する団体の会員数は数百万人いるのに対して、ニオイの研究に関する団体*3の会員数は500名程度だとさ。それでもwikipedia:嗅覚受容体の発見*4以降、状況も変わりつつはあるようで。ググってみたら最近はwikipedia:新型コロナウイルス感染症 (2019年)の記事がいろいろヒットする(確かに、症状の一つに嗅覚障害があったからね)。今後の研究にも要注目ってことかな?

 wikipedia:ハヴロック・エリスは、

においに対する高度な感受性は、しばしば神経の異常な状態と関係があることを発見した

そうだ。

 こういう話もあるとか:光の三原色ならぬ、ニオイの原臭ってあるのでしょうか? | みんなの嗅覚 でも、のちの研究では「原臭」がありそうもないことを決定づけたとか…脳のパターン認識が関わってるらしいんだよね。

 wikipedia:サイバネティックスを(人工頭脳研究)と訳してたのは超訳?まぁ良いんだけど。

現在もなお、においに関する研究では、なんらかの分野間断絶が続いている…(中略)…(さまざまな分野の研究者のほぼ全員が)嗅覚は現在、解明されていると言うにはほど遠いと口をそろえる

 

(においの)知覚の判断は生理的・精神的要因と結びついている

 

料理は人類文化の中心である…あなたは鼻で食べる(味わう)のだ

確かに、鼻がつまると味気なく感じる。

においはとくに、知覚処理の意識と無意識の細い境界線上にあるようだ

 こういうチーズもありますか:エポワス | チーズ辞典 | チーズクラブ | 雪印メグミルク株式会社(本書では、パリでは公共交通機関への持ち込みが禁じられている、とあったが)。

wikipedia:ピンクの知覚は脳のでっち上げ

 

分子構造とにおいの関係は、まさに不規則だらけ

 コーヒーは約655*5の揮発成分が存在し、紅茶には467存在するんだと。

wikipedia:クオリア」とは実際に何なのか、それが存在するのかどうか、意見が一致していないらしい

 

ヒトでは言語処理が増えた結果として、嗅覚作用が縮小した可能性がある

 wikipedia:アンドロステノンへの感受性は、年齢によって変わる可能性があるらしい。つまり、好きな(嫌いな)匂いも成長とともに変わり得る、ということらしい。

におい知覚は、生体による物理的情報の解釈なのだ

あるいは「においは心の要素」とも。

嗅覚は意思決定の道具である

 サリエンシー - 脳科学辞典 訳注では

注意を引き付ける顕著な特性

だと。

ほとんどのにおいは快不快の評価が著しくあいまいである

 wikipedia:沈香は「液状の金」とも称されたんだと。

 で、このにおいに対する好悪は、出生前の状況まで影響するんだとか。本書にあった例は、母親が妊娠最後の二週間に食べたもの次第で、wikipedia:アニスへの好悪が変化したんだとか。

 ニューヨークのセントラルパークは、「都市の肺」として設計されたんだと。これ?:+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編 「これからの公園のあり方について考える。」 第2回 レポート | NEWS | KIITO⇒ちょっと違うか。まぁいいや。

 ただやっぱりにおいに関する研究は客観性の担保が難しいようで、こういう話もあったとか:「女友達と生理の周期が重なる」はウソだった:英大学が検証 | WIRED.jp

 造語だそうだ:wikipedia:フェロモン*6

 人間の嗅覚は実は犬並み!? – 京都リフレ新薬株式会社

 ヒトの4倍となる12色型色覚を持つシャコは世界をどう見ているのかが研究から徐々に明らかに - GIGAZINE(本書では15種類とされてたが)

 こんな話もあるの?:新聞紙には消臭効果がある?新聞紙の消臭効果の高さや使い方 | norox(ノロックス) | 次亜塩素酸水でインフルエンザウイルス・ニオイを低減する除菌消臭ミスト

 wikipedia:シャネルNo.5 (当初は*7)ほぼ合成物質だけで作られた香水だったんだとか。

 今はこういう顕微鏡もあるとか:生命が持つ速度で見る高解像度なマルチカラー 3Dイメージング | オプティペディア - Produced by 光響

 wikipedia:決定不全

 こういう話もあるとか:ビルゲイツの財団、悪臭問題に取り組む | Scent News|香り通信

wikipedia:較正とスケーリングは測定に不可欠

 昔?wikipedia:スティーブン・ピンカーは(進化の過程で嗅球は)

霊長類の想定サイズの1/3に縮んだ

と書いていたそうだが、その考えは(著者によると)精査に耐えていないんだと。

 「無臭」にするのは難しいんだと。ググるとそういう宣伝?もチラホラ…

嗅覚では、さまざまなニューロンの相対的タイミングが情報を伝える

 パロスミア(錯嗅)とは? 新型コロナウイルスの感染で嗅覚障害が起こるワケ|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)公式

 Illusion Forum イリュージョンフォーラム 錯視 幾何学的錯視 ミュラーリヤー錯視 矢印の羽根は言わば文脈で、文脈次第で(視覚的な)認知が変わり得るのと同様に、嗅覚においても文脈は重要なんだと。

においはそもそも多義的なのだ

 人間も、(嗅覚の)相対的分別は得意なんだと(2つのにおいが同じか違うかは、きちんと区別できる)。

 カタカナ英語(アロマホイール)でググるとワインの記事ばかりヒットしたので、リンクはこっち:お茶鑑定のために嗅覚を鍛えたい。フレーバーホイール編 | どうりんファーム

 こんなの知らニャイ…:フゼア系ってどんな香り? – 香水通販 NOSE SHOP

 wikipedia:シニフィアンとシニフィエ

(嗅覚では)知覚と認知は完全に区別できるモジュールではない

専門家でも、コーヒー鑑定士とワイン鑑定士は全く別物なんだそうだ。

専門技能は目標を定めた努力と注意の産物である

 「においは脳の創作物」 また、(化学物質の)比率の解釈なんだと。

 「バウプラン」はググるとこれになりましたね:wikipedia:体制

現実は目に映るものだけではない

 こういうのもあるんだ:wikipedia:神経哲学

 索引があって良かった。

 

*1:ままこ

*2:人間学 - 岩波書店で言ってるの?

*3:AchemS:Association for Chemoreception Sciences (AChemS) | NIDCD

*4:におい分子を感知する嗅覚受容体の遺伝子の発見 -ノーベル賞解説- | 生物化学研究室

*5:こちらの記事では約800種類…

*6:響きが似ているので反応:[wikipedia:
アレロケミカル](アロモン、カイロモン)

*7:その成分は時代に合わせて変化しているらしいので。