た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

原子力公害

市の図書館の新着本で見かけて手を出した。

新版 原子力公害――人類の未来を脅かす核汚染と科学者の倫理・社会的責任

新版 原子力公害――人類の未来を脅かす核汚染と科学者の倫理・社会的責任

出版社の記事:新版 原子力公害 - 株式会社 明石書店*1
ググったらこんな記事も:新訳本の紹介:『 新版 原子力公害-人類の未来を脅かす核と、科学者の倫理と社会的責任 』 | ちきゅう座
序言を寄せてるポール・R. エーリックとは - コトバンクの文章がスパイスが効いてて面白かった。

私は人口抑制の支持者として知られているが、人口抑制のための手段として核汚染を選択肢とすることは絶対に許されない。

被爆後最初の10年くらいは白血病が目立つけど、その後は他の多くの器官のがんも見つかるようになるんだって。
旧版訳者あとがき読んだら日本のwikipedia:原子力委員会も同じみたいだけど*2wikipedia:アメリカ原子力委員会原発を規制する立場でもありかつ推進する立場でもあるんだってね。
そもそも放射線の「許容量」というのは、これ以下なら浴びても大丈夫、という量ではなく、これ以下なら害が検出されなかった、という量なんだそうだ。「不適切な方法ではいかなる影響も検出されないだろう」とも。手厳しいね。
そもそも、原子力の「平和」利用の害は、軍事利用のそれと大して変わらない、とのこと。
プラウシェア計画」(wikipedia:平和的核爆発参照)というのがあったそうで、「生物学的には狂気の沙汰」だ、と。
wikipedia:蒙昧主義は本書では、「曖昧話法」と訳してた*3。日本では 3.11 でwikipedia:東大話法が人口に膾炙したから、まぁ適当な訳ですかね。いずれにしろ、そういう態度は日本に限った話ではないようで。
こういうのもあるそうだ。:wikipedia:低線量被曝問題
で、3.11 では「想定外」という言葉が流行ったけど、アメリカでも"incredible*4"とか言ったりするらしいので、この病は原子力業界に共通する病のようだ。
wikipedia:放射性廃棄物の処分法は、「処分」というより「隔離・管理」と呼んだ方が適切、とのこと。
で、原子力の問題では単位が万年・億年になるし、事故の「確率」で話すのではなく、事故の「影響」で判断するべき、とのことでした。
で、科学技術に関する判断をする時には、3つの GNP

  1. Gross National Product
  2. Gross National Power
  3. Gross National Pollution

を考えるべき、とのことでした。この辺の発想は、やっぱりアメリカさんかなぁ。
まぁ(元は)古い本(原著は1970年らしい)だけに、wikipedia:泊発電所が「岩内原発」として名前が出てきたり、これホントに新版?と思った個所もあるが。

*1:目次を見たらわかるけど、5章が長かったorz

*2:日本はアメリカの真似して原発導入したんだから、同じなのは当然だ、とも思う。

*3:このように、超訳した上で原文の綴りも書いてくれるのが、親切でいいね。分量は増えるけどorz

*4:私訳:google:シンジラレナ〜イ