た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

98%チンパンジー

こちらの記事から、前著を市の中央図書館から発掘。

98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学

98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学

本書のテーマはwikipedia:分子人類学だそうで。

科学的と人間的との諸要素を根本のところで仲介するものが、人類遺伝学には必要なのだ。

あ、でも本書は十年以上前の本*1なんだけど、この頃はまだwikipedia:イグノーベル賞は人口に膾炙してなかったんだっけ?Igノーベル賞と訳してた。その他、古いところは2,3目につく。
「神が創造し、リンネが配列する」*2なんていう言い回しがあるんだってね。
こんな説明記事もあるけど、一言で言うと「染色体は遺伝子を収めた箱」だそうだ。
エミール・ズッカーカンドル氏曰く、

ヘモグロビン構造の観点からすると、ゴリラは異常な人間、あるいは人間は異常なゴリラにすぎず、実際この二種は連続した一つの集団のように見える

んだそうだ。ヘモグロビンの観点から…ってすごい言い回し。

時には除外することによって、言明は理にかなったものになる。

自然界の事実として当たり前に思っていること…(中略)…が、実は歴史の産物である(こともある)

すべての科学的突破口は、(このような)通俗的な知恵を否定して、同じデータに対してより新しい分析的な解釈を施すことによって開かれてくるものだ。

wikipedia:人種の話もしてたけど、要するに

人種は目の錯覚

だそうだ。「ヨーロッパ人、アジア人、アフリカ人を比較するのは、イヌとウシと哺乳類を比較するようなこと」とも。
そーえば、こんな論争もあったそうで。ハーンスタイン&マレイ『ベルカーブ:アメリカ生活における知能と階級構造』(1994) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

人生は一度しかない。過去の可能性を考えてみるのは面白いかもしれないが、それは科学的な問題ではない。

ネアンデルタール人は、Yahoo!知恵袋では「便宜的なつづりだと思われます。」なんて言ってるけど、

今では"h"をつけられていない

んだって。

知ることのできないものごとは科学の領域外にある。

人間では、性染色体がXXYだと外見は男になるけど(wikipedia:クラインフェルター症候群)、ハエだと雌になるんだ(キイロショウジョウバエの核型(染色体数)と性差)。
wikipedia:相似 (生物学)wikipedia:相同って違うんだ。

脳はその人の経験と相互に作用し合いながら成長し発達を遂げる。脳は、遺伝子を研究する上での信頼に値する代理人ではない。

wikipedia:人種主義が何であるかを学ばずに、人種主義が悪いことだと学ぶことに問題がある

著者によると、wikipedia:人種は、wikipedia:家族と同様に社会的構築物だそうだ。

あなたが憎む人は文化的に規定される。

常に観察できる事実でも、そこに遺伝的な原因があることを意味するわけではない。

我々は人間にさえ人権を保障できていない

wikipedia:ニュルンベルク綱領 wikipedia:en:Native American Graves Protection and Repatriation Act

人間の最も本質的な属性の一つは、社会の中に自分を位置づける願望なのだ*3

ヒトラーは時代の申し子だった――その時代と場所から離れてしまえば彼はただの人にすぎない。

wikipedia:アドルフに告ぐが言ってたのも、結局そういうことなのかなぁ?→3/07追記 中央図書館で最後の方ちょっと読んできたけど、Wikipedia に書いてある通り、

作品の視点は主にカウフマンとカミルであり、ヒトラーは2人のドラマからやや離れて描かれているにとどまっている。

巻末に収められていた雑誌の記事などによると、むしろ描きたかったのはイスラエルユダヤ人の確執らしい。

科学は奇跡を扱わず、規則性を扱う。

ブラジルで発見されたwikipedia:アウストラロピテクスは、wikipedia:ルーシー (アウストラロピテクス)にちなんで「ルキア」と呼ばれた、そうだ。
wikipedia:en:H. L. Menckenという方がこう言ってるそうだ。

複雑な問題にはどれも単純な答えがあり、…そしてそれは間違っている。

血縁関係は遺伝学的な特性ではない。/血縁関係は作られたものである

平均的な科学者に責任を認めさせるのは、平均的な四歳児に責任を認めさせるのと同じくらいに難しい。

人々があまり関心を持たない問題に答えるのが得意なのが科学の問題点なのだ。

ふーん、野蛮人(wikipedia:バルバロイ)って、

異民族の言葉は「バルバルバル」と聞こえたからといわれている。

そうだ。
でもやっぱり著者の語り口は過激で、

勝手に夢を見続けるがよい。

なんて言い放ってるところもありました…そういうこと言うから、炎上するんだよね…
ところで本書は今世紀の初めの書だけど、

二十世紀が近代科学の世紀だったとすれば、二十一世紀は近代科学の責任の世紀になるだろう

と予言してました。さて、どうなる?
ま、こんなところでご勘弁をば。もうオネムだしorz

*1:よく考えたら、wikipedia:ヒトゲノム計画完了の翌年。

*2:リンネの功績:属名の性 : 感染症の病理学的考え方からコピペしましたorz

*3:3/6追記。んじゃオラは、知の巨人ならぬ痴の狂人、と位置づけよう。