- 作者: ジルプライス,バートデービス,橋本碩也
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 単行本
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本書の原著者、ジル・プライスさんは、超記憶症候群(hyper thymesis syndrome)*1の持ち主で、本書は彼女の極めて特異な半生を綴った本です。
単なる半生記と違って、記憶に関する膨大な参考文献も記されているので(英文雑誌だったりするんだけど)、専門的な研究者にも大いに役立つ本でしょう。その分一般の人には少し読みづらいかもしれないが、注を気にせずにどんどん読んでいけば良いと思う。また、読み始めたら止まらない、次はどうなるのだろう、と、グイグイ引き込まれる面白さがあります。(それはやっぱり、もう一人の著者として名前が挙がっている、パート・デービス*2さんの筆力なのでしょうが。)
一般的には、忘れるのは良くないことで、何でも覚えておける方が良いだろう、と思われるでしょうが、どんなことでも覚えてしまい、ふとした弾みにそれを思い出してしまう、というのは、非常につらいことなんだそうです。昔書いたことがあったような気がするんだけど、記憶と忘却は双子の姉妹で、人は忘れるからこそ生きてゆけるんですが、その忘却の力を失ってしまったとき、人はどうなるのだろう、ということがわかります。【(追記)やはり、発狂一歩手前まで行ってしまうんですね。】確かに、記憶というものは人間の意識ではコントロールできない面があって、僕も昔、どーでもいいこと(友人のO野くん(仮名)が○○さんに好意を持ってた、とか)ばかり覚えているのに、何で朝食ったものを思い出せないねん!とよく怒られました。
この超記憶症候群の人は、今までのところアジア・日本の人の事例は報告されていないそうで、もしそういう人がいたら是非訳者まで連絡して欲しい、ということで、メールアドレスまで記されていた。
そうそう、そんな彼女でも、日記をつけているそうだ。それは、紙に記すことによって考えがまとまり、心が落ち着くからだそうだ。*3やっぱり、日記って大事なんですね。まぁ、彼女の場合あとでまとめて2,3年分書いてしまうことができる、という特殊な能力を持っているんですが。