た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

プラネット・グーグル

プラネット・グーグル

プラネット・グーグル

オッと目を引くような書名だと思うのですが、裏の貸出期限表を見る限り、僕の前に借りていた人はいませんでした…まぁ、奥付を見る限り、発行されたのがその図書館の休館*1中だったようなので、その影響もあるとは思うのですが。また、テーマは良いと思うのですが、(翻訳書にありがちなように)訳がちょっとこなれてない部分が多いんですね。なんか、何度読んでも意味不明の部分が多かったんで、そういうところはどんどん読み飛ばしました…
amazonでの評価は比較的高いようですが、僕個人としては高い評価を与えることはできません。
とは言っても、Randall Stross氏(原著者)の目の付け所が優れているので、興味深い記述も多かったです。例えば、Googleの目的が「人類が使う全ての情報を集め整理する」というのはよく言われる話ですが、より具体的には「私は明日どうするべきか」「私はどのような職に就くべきか」といった質問を受けるとユーザーごとに異なる回答を提示できるようになるのが最終目的なんだそうです。なんか、2001年宇宙の旅を彷彿とさせますが、もちろんHALの反乱は起こらないようにします。
そういえば僕がインターネットに初めて触れた頃('94〜'95)は、検索エンジンといえばYahoo!しかなくて、この頃はネットの規模が小さかったからYahoo!のような(人の手を介した)ディレクトリ検索でも十分機能したんだけど、ネットの規模が大きくなるにつれて人の手を介した検索では追いつけなくなり、Googleのように完全に機械のアルゴリズムによる検索が力を持ってきたんだ、といえるそうです。なるほどね、と思いました。
でも、Googleは、当初採算性を度外視することによって、文脈依存広告という金脈を掘り当て、高い採算性を獲得した訳で、やっぱり目先の利益にとらわれていては限界があるんでしょうな。
また、検索技術では大成功を収めたGoogleですが、(検索によって)情報を見つけ出すこと自体は機械のアルゴリズムの方が優れているのだけれど、その情報を整理する段階では人手を介したwikipedia:ウィキーさん方式の方が優れているんだとか。Yahoo! も、そういう方向に進めばまだ勝機はあると思うんだけどなぁ。*2
あと、wikipedia:Mahaloという会社が世界初の人力検索の会社だ、とか持ち上げられてたんだけど、hatenaユーザーとしては「チョ、チョット待った!」と声を荒げざるを得ませんな。
そんなわけで、僕はこの書籍はあまり評価できないのですが、まぁ(訳者あとがきにあるように)出版された時点での Google を知る上では最良の本だったといえましょう。

*1:大学図書館なので、試験期間中は学外の人は入れなくなる。

*2:もっとも、日本では Yahoo! Japan のシェアが圧倒的なんで、(Yahoo! 51.2%、Google 39% - 日本の検索エンジンシェア 2008年9月 - コムスコア調査 ::SEM R (#SEMR))また事情は違いますけどね。