た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

学問の下流化

学問の下流化

学問の下流化

初めの方は、表題から想像されるような内容が続いて興味深く読んでいたのですが(例えば、最近流行の格差社会論は、以前あった学歴社会論と構造が似通っていて、だから日本はどちらかというと階級社会と呼んだ方が良いのではないか、との指摘とか。)、途中からは「○○を読む」といった感じの書評っぽい文が多くなり、ちょっと飽きた。とは言え、著者の読書遍歴がたどれる点は面白い。

著者が紹介している、面白い読み方は、まずあとがきから読んでみる、というものです*1。これは結構役に立つかもね。あと、大学教員になって、これで好きなだけ本を読んでいられる、と思ったが、専門と関係のない本を読んでいる時間はそうそう無いわけで、一方でなにがしかの糧を得なければ本は買えないし、引退したらしたで本が価値を持っていた時代は過ぎ去っていた、みたいな言説があって、そうだよな、と思った。書籍のような、先にある程度のお金を必要とするビジネスモデルでは、質は高いのだがそういった欠点はどうしても残るわけで。一方で、放送のような広告を主体としたビジネスモデルだと、質を保つのはなかなか難しいし。あちらを立てればこちらが立たず、と、難しい問題です。その点で、インターネットの世界はどうも放送型の(広告を主体とした)ビジネスモデルに流れつつあるようですが、そこで問題になるのはどこまで質を高められるか、でしょうな。

※追記
本書は、新聞や雑誌に掲載されたものを再構成したもののようです。

*1:というか、これは結構メジャーな読み方のようですが。