た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

量子暗号

量子暗号

量子暗号

電子商取引は、暗号の技術を抜きにして語ることは出来ないわけで、本書はその最先端である量子暗号について、暗号の歴史から量子暗号の原理に至るまで、丁寧に解説しています。元々、日経バイト*1誌に特集記事として掲載する予定が、紆余曲折を経て日経エレクトロニクス誌2006年6〜8月号連載され、それを元に書籍にまとめたものだそうです。


とは言っても、本書は全体的には決して易しい内容の本ではないですね。量子力学の原理は(一応)理解しているはずの僕でも、結構分からない部分が多くてそういうところは流し読みになってしまったことを告白します。しかしながら、100%理解できなくても、明治初期のお雇い外国教師が、自分たちの知識を単に切り売りするのではなく、当時世界最先端の実験を行い、新機軸の教育手法を実践することで、日本の技術エリートを育てたんだ、というエピソードなど、比較的平易で興味深い内容も多かったです。


また、現在主流の公開鍵暗号もわかりやすい解説がなされていましたが、これも量子コンピューターが実現されるとたちまち危ういものになってしまうそうですね。だから、社会の動向に注意することは大事ですな。>昔の自分


でも、正直、新書くらいの分量でもう少し易しい内容のものはないもんかな、と思った。

*1:2005年12月号を以て休刊 ソース