た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

奇跡の脳

奇跡の脳

奇跡の脳

家の本棚で寝ていた本です(おそらく、父が買って読んだものと思われる)。それはいいとして、本書は、前半は脳出血(AVM、またはwikipedia:脳動静脈奇形)を経験した神経解剖学者が自らの体験を語る、興味深い書だったのですが、後半では訳者も認めているように様相がガラッと変わり、(筆者の言葉を借りるならば)右脳マインドバンザイ!みたいな内容になり、ちょっとゲップが出ました。そういうことを言えるのは、まず筆者が学者として左脳マインドを極めていたからであって、一般の人が彼女を真似して右脳ばかり鍛えるのはどーか、と思う。前にもちょっと書いたかもしれないけど、右脳も左脳もバランスをとって育*1むことが大事で、どちらか一方だけだとバランスのとれない妙ちくりんなヒトになってしまうと思うんだな。(まぁ確かに、一般に現代社会では左脳ばかり使われる傾向がある、という一面はありますけど。)
まぁでも、前半の患者の思いを語っている部分は、読み応えがあった。多くの人に知ってもらいたい、と思う。(その意味では、分冊して前半部分を文庫にしても良いくらいだ。)また、彼女を支えた母の存在が大きかったこともわかるだろう。

*1:はぐく