た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

「色のふしぎ」と不思議な社会

 うーん、確かなんかの本で書名を見かけたんだよね*1。で、オラには重要な本だと思われたんで、取り寄せ・読破。

 「先天色覚異常*2」の話ですが。オラは(ほぼ)明らかに後天性…男性の5%*3と女性の0.2%が当事者であると考えられるそうだ。もっとも、正常と異常の境界線をどこに引くか、という問題もあり、この数字はあくまでも現時点での目安で絶対的なものではなさそうだが。

ヒトの集団「我々」が持っているありとあらゆる遺伝的な素養が、個々人のレベルでまる見えになってしまう「パーソナルゲノム時代*4」だからこそ、「異常と正常」という分断ではなく、多様性と連続性*5の認識を!

というのが本書の目標だそうだ。

 そもそも著者の記事を、大昔にブクマしていたようで…(記憶になし…):研究室に行ってみた。東京大学 色覚の進化 河村正二 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト*6

科学的であればそれが常に正しいという考えは素朴すぎる

 wikipedia:アイザック・ニュートンが『光学』で言うには、

光そのものには色はついていないが、光は人間の視覚に色の感覚を起こす能力がある

だそうだ。今日の理解でもまぁそんな感じか。

 wikipedia:スペクトルは、カタカナ使わなければ分光分布か。

 そのスペクトルが違う光でも同じ色に見えることはあるそうで:違う光なのに同じ色に見える 色が見える仕組み(6): 光と色と

 wikipedia:ヤング=ヘルムホルツの三色説 でもこういうのもある:色相環 - しきそうかん | 武蔵野美術大学 造形ファイル 数学的には同じことを言っていることをwikipedia:エルヴィン・シュレーディンガー1920年に示しているそうだ。結局こういうことらしい。

三色説と反対色説を含む段階説が受け入れられています*7

 なぜ赤・緑・青錐体ではなくてL, M, S錐体と呼ぶの?(PDF) なんか、錐体の応答の「差」によって色ができるんだって。

 wikipedia:ジョン・ドルトン

自らが先天色覚異常であることを発見したことによって、色覚異常を意味する「ドルトニズム (Daltonism)」の語源となった

 

2色覚*8には2色覚の色の世界がある

 (注で)色のない島へ - た-くんの狂人日記のあるエピソードの話もあったんだが、記憶にない…これは自分で買った本のはずだから、実家に帰れば確認できるんだろうが…それとも、やっぱり図書館だったかなぁ?コロナ前の記憶は、今やアヤフヤ…(まぁオラの記憶は、コロナ前どころか今朝食べた物もアヤしいが…)

 何か、用語が変わったみたいなんだよね:13.色覚の異常|目と健康シリーズ|三和化学研究所(この記事でいう「いわゆる…」)

 仮性同色表(目に関するあれこれ:色覚検査について)というのは英語では"Pseudo Isochromatic Plate"なのでPIPと略すそうなんだが、Google先生に聞いてみてもwikipedia:pipとかいうのがヒットして…ピップエレキバン® | ピップ(株)みたいジャマイカ

 こういう話もあるんだと:古テクスト | 夕闇迫れば:色覚と社会wikipedia:團伊玖磨の話)

 色覚の多様性と視覚バリアフリーなプレゼンテーション | 第3回 すべての人に見やすくするためには、どのように配慮すればよいか なんかブコメではホワイトボードや電子黒板の方が無難、とか書いてる人もいるけど、そうじゃなくて、核にあるのは見えにくい人へ配慮する余裕を持とう、ってことだと思うんだが。まぁidコールしてケンカふっかけたりはしないが*9。ホワイトボードや電子黒板でも見えにくい色はある訳だし。

色に関わる感覚は言葉にすることがきわめて難しい。

 ラベリング効果というのもあるそうなんだが:医療における《ラベリング効果》 - Interdisciplinary そういう意味では、オラのブログのタイトル「…狂人日記」も問題あり?予言の自己成就(wikipedia:予言)とかいう話もあるし…まぁいいや。オラの狂気は後天的なものだし、むしろ狂にまつわるマイナスイメージを解体(むしろwikipedia:脱構築?)するべきだと思うんだよね。

 必要か差別か? 学校での「色覚検査」復活の謎に迫る(1/4)〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット) これも、当事者の立場としては単純に復活すれば良い、というものでもなさそうなんだが。まぁ、まだ記事全部読んでないし。

 画期的だったらしい:つくられた障害「色盲」 (朝日文庫) 文庫にもなってるんなら(昔なら)ブックオフで捜索コースなんだが… あとこれも:たたかえ!色覚異常者―「色盲・色弱」は病気ではなく、個性なのです

 優生思想 - ウィクショナリー日本語版が日本で本格化したのはむしろ戦後なんだって。ググるとこの辺?:【優生思想 ナチス・ドイツと現代の日本(1)】繰り返される命の選別 - 記事 | NHK ハートネット

 大学入試における色覚異常者の制限はかなり減ってきたんだが:学校における色覚検査について | 色覚ナビ そもそも数学系は1966年の時点でも制限0だったんだと。正直、また数学か…の思いは否めない。本書では「印象的」と記していたが。

 オプシンとかいうのもあるんだそうだが:眼で進化を視る -その2- | JT生命誌研究館

 大昔にブクマした記事の中にあるのかな:なぜ霊長類はまた3色型色覚を獲得したのか (4ページ目):日経ビジネス電子版 『軽微な変異3色型色覚』は、言わば「隠れ…」「プチ…」だそうだ。

 15 まちがってたら、変えなきゃね。 | 社会包摂デザイン・イニシアティブ

 SNP(スニップ) | 遺伝子検査・DNA検査のMYCODE(マイコード) CNVってーのも:デジタル PCR によるコピー数多型(CNV)解析 | Thermo Fisher Scientific - JP

 こういう本も:日本が優生社会になるまで - 株式会社 勁草書房

 栗木一郎*10曰く、

色というのは、個々人の脳内で形作られる内的な感覚…つまり主観です

とのこと。

白内障手術を受けて眼内レンズに変わると、空がこんなに青かったのかとびっくりする*11

 「メタマー」をググったらヒットした:技研公開2019 基調講演2|NHK技研R&D|NHK放送技術研究所

 こういうSFもあるんだとか:七色覚(グレッグ・イーガン 山岸真訳)〜言語表現とサイボーグ、わたしと世界の感覚器|大滝瓶太|note

 7はSFの世界だけれど、4色覚の人は実在するそうだ。スーパービジョンっていうらしい。:1億以上の色を知覚できる「スーパービジョン」を持つ女性が12%もいる可能性 - GIGAZINE

 これの話か。見かけた記憶があるような、ないような…:日本語における「青」と「緑」の混用、経緯を解明 - 東北大 | TECH+(テックプラス)

 これまた、昔ブクマはしてたようだが…:デザイナーじゃなくても知っておきたい色と配色の基本 | knowledge / baigie

 そえばこんな話も昔見かけた記憶はあるが…:古代日本には赤・青・白・黒の4色しかなかった。不便…?

 こういった世界の古典はこれらしい:色彩が解く言語の謎-ブレント・バーリン、ポール・ケイ、日髙杏子訳『基本の色彩語』三木学 - shadowtimesβ 今から見てもまったく色褪せてないとか。

 こういうのもあったとか:まだドレスで混乱してるの? 青と黒とか白と金とか吹っ飛ぶ7つの画像 | ハフポスト NEWS

 前出の栗木曰く、「色覚は健全な錯覚」とのこと。とググると、HONZの記事がヒットした…:色覚サイエンスの最先端を知ると、「日本」まで見えてくる――『「色のふしぎ」と不思議な社会』 - HONZ だから、色覚に「少数派」はあっても「間違い」はないんだと。

 こういうのも:色の恒常性 - 脳科学辞典

 アメリカで、第二次世界大戦中でも(日本で開発された)石原式色覚異常検査表 | 池袋サンシャイン通り眼科診療所が使われていたのを「ジョーク」っていうんだけど、むしろ皮肉だと思うな。だって、笑えないじゃん。ヱ、オマエのジョークも笑えん、ってか?聞こえない、聞こえない…

 先天色覚異常の世界では、日本一有名だそうだ:高柳泰世について | 色覚ナビ

 パネルD-15とかいうテストもあるんだと:【石原式色覚検査・パネルD-15】色覚検査のコツを解説! | Contactメディア

 昔は、wikipedia:副手っていう人もいたんだと。

 また著者の記事を見つけてしまった…(読み切れない…):集英社学芸部 - 学芸・ノンフィクション

色覚は、連続しており、多様であり、広い分布がある

wikipedia:自閉症スペクトラム障害の考え方とも似ているらしい。要するに、正常/異常のどちらかに割り振るのは無理だよ、ということ。

かつて「異常」と「正常」がくっきりと分かれていた色覚異常の描像・障害像が、実は連続しており、多様なものだった

そういうアプローチの方が、スティグマ*12が軽減される(ことがある)んだと。

正常だろうが異常だろうが、「互いに間違い合っている」ことを基本に考えていく方がずっと健全だろう

 これまた最近流行りのwikipedia:根拠に基づく医療(EBM)の核心にある考え方は、

その時点での最良の科学的根拠(エビデンス)を、良心的に、明示的に、思慮深く活用する

ということだそうだ。医師個々人の経験がバイアスにさらされることを医師たち自身が自覚するようになったから流行りはじめたんだと。

今後、色覚臨床の専門家に考えてほしいのは、これまでの歴史的な経緯をいったん棚上げし、自らの専門性ゆえのバイアスを自覚した上で、21世紀水準のエビデンスに基づいた議論に追いつくことだ

 なんか変わったらしいね。(五輪前の記事みたいだが…):13年ぶりJIS安全色を改定 - ニュースONLINE

 色覚型と特徴 – NPO法人 カラーユニバーサルデザイン機構 CUDO

 「神経多様性」はググったらこれヒット:日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト 「職場における脳・神経の多様性に関する意識調査」の結果について 同様に「神経学的定型」はこれヒット:大人の発達障害「グレーゾーン」とチェックするポイントを診断基準から解説 | Neuro Dive(ニューロダイブ) 先端IT特化型就労移行支援

わたしたちは、(できそこないではなく)進化の歴史のなかで人類の中にあらわれた、尊重されるべき多様性の一部なのだ

 こういうのもあるんだと。生命科学連携推進協議会|よくわかる!はじめてのELSI講座 オッサン的には、eLSI といえばenhanced LSI*13 しか思いつかんのだが…

 という訳で、自腹切って買っても良いかな、とは思ったんだが、今の時代amazonでも使わんとこういう本は入手困難…だったら頑張って読んじゃった方が早いもんね(結局、土日で読破)。

 

*1:それともやっぱりある日の返却本だったかも…

*2:先天色覚異常について

*3:40人学級で男女比が1:1としたら、クラスに一人はいる計算。

*4:ググるとこんな記事:パーソナルゲノム時代が拓く未来とは? | WASEDA NEO

*5:本書の最重要概念だそうだ。

*6:本書の内容は、この記事の記述を進化(深化)させたものらしい。

*7:出典:色の知覚-加法混色・減法混色、三色説・反対色説・段階説 | 心理学・心理職ネットワーク

*8:wikipedia:色覚の「2色型色覚」遺伝子を見れば、先祖返りという訳ではないそうだ。

*9:そういうことやってた時代もあるが。

*10:栗木 一郎 (Ichiro Kuriki) - マイポータル - researchmap本書では前任の東北大学准教授時代のものだったが。

*11:白内障になったら、どんな絵を描くのでしょう・・ | よしこ眼科クリニックのブログからコピペ…

*12:ググったらこれヒット:スティグマを減らしましょう | こころの病について | 東邦大学医療センター大森病院 メンタルへルスセンター イル ボスコ

*13:ノート:集積回路 - Wikipediaに記述はある模様。