た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

原子力事業に正義はあるか

原子力事業に正義はあるか―六ヶ所核燃料サイクルの真実

原子力事業に正義はあるか―六ヶ所核燃料サイクルの真実

基本的に流行りものには手を出さない*1僕ですが、つい流行りものに手を出してしまいました。でも本書は、六ヶ所核燃料サイクルなどについて著者がまとめていたところに、たまたま地震が起きた、ということのようです。だから、急に著された書籍ではなく、十分に下調べした上で書かれており*2、読み応えがあります。
アメリカさんはwikipedia:軍産複合体に牛耳られている(らしい)けど、日本は言わば原子力推進複合体に牛耳られているそうだ。オソロシヤ、オソロシヤ。
ま、オラも昔いた研究室は、そういうところのおこぼれにあずかっていた、と言えなくもないから、あまりエラそーなことは言えないんですけど。
交通事故で死にかけた僕が思ったのは(こちらの方もちょっと触れてる。)、原子力産業とクルマ社会は、ある種似ているところがあるな、ということです。どういうところが似ているか、と言うと、どちらも人類の叡知を集めて作られたすばらしい技術ではあるけれど、その偉大さゆえに使っている人の力を過信させ、彼らを傲慢にしてしまう、という点で。
人間がすることである以上、ミスを減らすことは可能でもミスをゼロにすることは原理的に不可能なのです。交通事故にしろ原子力事故にしろ、事故というものは、頻度を減らすことはできても、いつか必ず起きてしまうのです。その時どうするか、ということまでちゃんと考えておかないと、また想定外とか言って言い訳するハメになるでしょう。
と、想定外の事態で死にかけた僕が言っても、あまり説得力はないかもしれないけど。

*1:平均、流行りものはキライだから。

*2:その証拠に、巻末の注が181番まである。