た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

人間らしさとはなにか?

人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線

人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線

  • 作者: マイケル・S.ガザニガ,Michael S. Gazzaniga,柴田裕之
  • 出版社/メーカー: インターシフト
  • 発売日: 2010/02/01
  • メディア: 単行本
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この前読んだ本も分厚かったけど、本書の方が(厚さは)上手*1でした。注*2も含めると605ページ!ただ残念だったのは、索引がなかったこと。そのため、文中でMSR*3って何だったかな?と思っても、また読み返さなくてはならず不便*4。あとまぁ、翻訳書にありがちな翻訳の質の問題ですが、初めの方で

ユニークなFOXP2遺伝子のバージョンを持っている。

とか書かれるんだけど、(ユニークもバージョンも元々外来語だし)素人的にはもう少しわかりやすい日本語にならんもんかね?と思う。
全体的には、本書は動物からヒトへ進化する過程で、何らかの位相変化(水が氷or水蒸気になるように)が起きたのではないか、と主張し、(書名通り)人間らしさのみなもとを探っています。人間とは何者か、という問いに魅せられてきた著者の集大成のような著書ですかね。
語り口は平易で、アメリカ人らしく随所にクスッと笑えるジョークを交えているあたりは、アメリカ人のサービス精神を感じる。*5
興味深かった話を一つだけ挙げるなら、

理性は選択肢を列挙するが、選択するのは情動なのだ。

という話ですかね。ま、他にも、気分(あくび*6とか。)が伝染する話とか、面白い話がたくさん載っています。上に上げた欠点(索引がないこと)を容認できるなら、多少高価だけど買って損はない一冊でしょう。

*1:うわて、ね。

*2:本書の注は、(英文の)参考文献を示す注(*)と説明書きの注(**)を分けていて、大変読みやすかった。一つのあり方として、大いに注目されるべきでしょう。

*3:鏡による自己認識。参考

*4:¥3,600もするのにorz ま、図書館派のオラは図書館で借りてきた訳だから懐は痛んでないけど。

*5:オラも、こういう知的センスを目指してるんだけど、オラのはやっぱりやまいだれつき=痴的だからなぁorz

*6:チンパンジーでもあくびは伝染するらしい。ただ、その移りやすさには個体差があるそうだが。