- 作者: アレクサンダー・ハラヴェ,田畑暁生
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 単行本
- クリック: 81回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
(Google を中心とした、)現代の検索エンジンは、多くの古代文明で「神託」が行っていたことを引き継いでいる、とも言える
のですが、このような(インターネットと)検索エンジンの発達が、人間社会にどのような影響を及ぼすだろうか、ということを考察しています。結果、単なる Google 批判本とは違い、(Google を初めとした)検索エンジンの機能と限界を率直に語っています。全体的に、「なるほど。」と思わせる言質が多く、なかなか読み応えがありました。一つ覚えているのは、Google の Page Rank のようなアルゴリズムは、強者の検索結果をより強調する結果になるので、例えば color (色)という単語のつづりは、イギリス式では colour となるが、これはアメリカ式のつづり(color)に比べて出現頻度が低いので、単純多数決の Google 式では淘汰され、いずれは消えていってしまう運命になってしまう、とか。そういう文化の多様性を欠いた状態というのは、前に書いたことがあったような気がするけど*1、強そうに見えて実は脆いもんですもんね。
ただ一つ難点を挙げるとすれば、やはり翻訳の質ということになるでしょうね。そんなに訳わかめ、という部分はない(つまり、合格点ではある)のですが、原著が出版されたのも本書が出版されたのも同じ2009年。ってことは、2009年内に出版するべく翻訳を急いだんでしょうね。表現が十二分に吟味されている、とは言いがたい点がいくつかありました。例えば訳者あとがきで触れていたのは、social と sociable*2 の使い分け。個人的には、こういうのは文脈に応じて、どういう訳語を当てはめるべきか十分吟味してもらいたい。だって、書籍というのは後世まで残るものだから。*3
ま、そんなブツクサ文句言ってるんなら、自分で原著読めYO-、ってことですな。でもオラの英語力は、Harry Potter でヒーヒー言ってるくらいだから*4orz