- 作者: 吉村仁
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/11/25
- メディア: 単行本
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これまでのwikipedia:進化論では、自然選択により強い者が生き残る、という考え方が主流でしたが、そうではなく、
生き残るのは環境の変化に対応した者たち
というのが本書で訴えていることです。そもそも、AがBに進化する、と言った場合、われわれは無意識のうちにAよりBが(絶対的に)良い、と思いがちですが、これからの21世紀の生物学では、むしろ進化=変化くらいに思っておく方が良いらしい。ポイントになるのは、絶対的価値ではなく、生き残り得るかどうか(つまり、最悪の環境下での絶滅リスクを避けること)、になるのだそうです。
そんなわけで、前半は数理生態学者が一般向けにわかりやすく説明してくれていたんだけど、途中から雲行きが怪しくなり、最後の方の章はなんか社会科学的な問題(道徳と法律、とか)にまで首を突っ込んでいて、ちょっと勇み足かな、という気もした。まぁ、その辺の問題は、理想を言えば社会学者が著者の意図をくんで論を展開してくれれば良いんだろうけど、文系の学者って、こういう理科系の発見に拒否反応を示しがちだからなぁ。
あと思ったんだけど、生物の世界って結構難しい漢字が多いよね。粃*1とか旱魃*2とか、読めませんorz こういうのは、振り仮名がほしい。もっとも、振り仮名を振って読めればわかってくれる、というのは幻想だけど。