た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

やわらかな遺伝子

やわらかな遺伝子

やわらかな遺伝子

本書は、原題"nature via nuture"*1に見られるように、昔からよくある(例えば個性は)生まれか育ちか、という問いにひとつの答えを与えています。まぁ、結局は、生まれも育ち*2も大事、というよくある結論に落ち着くんだけど。筆者は、直接的には、書名に見られる「生まれは育ちを通じて」、別の言い方では、「育ち」を身につけるために「生まれ」が必要なのだ、と語っていました。
著者のマット・リドレー氏は著名なサイエンスライターだそうで、そうえば
徳の起源―他人をおもいやる遺伝子

徳の起源―他人をおもいやる遺伝子

なんかは昔図書館でちょこっと読んだことがあったかもしれない(そのころは、まだ右も左もよくわかってない頃で、読んだ本を記録しておく習慣がなかったから、確認できないけど。)著名だ、というだけあって、読みどころが満載です。ただまぁ、読みこなすには多少生物学の知識があった方が良いかもしれない。(オラも、教養・学部時代にもうちょっと真面目に生物学を勉強しておけば良かったなぁ、と思う今日この頃。物理学の専門知識があっても、日常生活ではあまり役にはたちませんからね。)
あと面白かったのは、結婚に際して女性が男性の経済力に期待するのは世界的な傾向なんだけど、中でも日本はその傾向が特に強いんだって。ということは、オラみたいな貧乏人は(日本では)結婚できませんよ、ってことかorz

ま、いいや。

ただ興味深い本ではあったんだけど、注や索引まで含めると400ページを超える大著ではあるし、なかなか疲れるのは事実。こういう本が、新書ブームに取りつかれた出版社に見つかると、これのように注と索引を削除して新書にされちゃうんだろうなぁ。ま、その方が自分で買う分には安価で助かるだろうけど。→2014/12/15 に文庫になってるようです。

あ、そうそう、思い出した。普通の考えでは、子が親に似るのであって、その逆はないだろうと思われますが、(親子は一緒に生活することが多いから)親が子に似ることもあるんだって。*3 そんなわけで、

我々は線形の因果関係にこだわりすぎではないか

と結んでいたのが印象的でした。

*1:直訳すると、生まれは育ちを通じて

*2:ただし、ここで言う「育ち」とは、出生以前の胎児期の育ち、も含まれる。

*3:我が家でも、最近は僕の貧乏性が父に乗り移りつつありますorz