つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?
- 作者: デイビッド・J.リンデン,David J. Linden,夏目大
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2009/09
- メディア: 単行本
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近年の脳科学ブームの中で、脳というと何か緻密に設計された崇高な機械であるような印象を抱きがちですが、そうではなく、脳は、進化の過程で言わばその場しのぎで発達してきたことを丁寧に解説しています。
どのようなテーマが扱われているか、詳しくはAmazonで目次でも見てもらえば良いのですが、まず脳を構成する部品(ニューロン)が非常に効率の悪い部品であることを述べた後、記憶や学習の仕組み、夢や宗教についてなど、幅広い分野について詳しく解説されており、どれか一つの章だけ取り上げても立派な作品として成り立つと思います(それくらい、完成度が高い、ということ)。
最後の章で、wikipedia:インテリジェント・デザイン(ID)論についても厳しい批判をしていた。要するに、仮に知的な設計者がいたのなら、これほどまで非効率・不経済な設計はしなかったであろう、ということですかな。おっしゃるとおりですなぁ。
著者は多彩な知識を持っているようで、日本の天皇陛下は河豚(フグ)を食べてはいけない、という話なんかも織り交ぜていて(参考資料)、そんなこともあり本書は(脳のことを扱っている本としては)気軽に読むことが出来ると思います。