た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

日本の食力

日本の食力(しょくぢから)―国産農産物がおいしい理由(わけ)

日本の食力(しょくぢから)―国産農産物がおいしい理由(わけ)

「三度の飯より食べることが好き」と公言する「やまけん」こと山本謙二氏が、日本の食について考えている書です。もっとも、「日本農業新聞」で2008年の正月から始まった連載「やまけんの舌好調」に加筆・修正したものだそうですから、このわずか一年の間にも状況が変わってしまっているものもありますが。
元が「農業新聞」の連載だけに、どちらかというと生産者(大さっぱに言えば農家)向けに書かれていることが多いですが、消費者向けのアピール(単に「安い」「うまい*1」だけではなく、「佳い*2」食を追求してほしい、など)もあって、食の問題に関心のある一般の消費者にも大いに読まれてほしい書ですね。また、最後はこのような主張の色合いが濃いけど、はじめの方(第1章)では日本各地に地域食をいろいろと紹介していて*3、この部分を読んだだけでも旅情をかき立てられます。
というわけで、生産者はもとより食の問題に関心のある消費者にも大いに役に立つ書でしょう。ちなみに、著者やまけんさんのブログは、やまけんの出張食い倒れ日記

*1:うまい!は所詮個人的主観に基づく感覚だから。

*2:本書では、良いを敢えてこのように表記していました。

*3:新潟(中越下越地方)ではイタリアン、というと、中太の蒸し麺をモヤシなどと炒めてソース味がつけられたものに、ミートソースがかけられたものが出てくるらしい、とか。