た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

医者になって十年目で思うこと

医者になって十年目で思うこと―ある大学病院の医療現場から

医者になって十年目で思うこと―ある大学病院の医療現場から

現場(大学病院)の医師による、医療に関するさまざまな問題をつづった書、とでも言いましょうか。三年にわたって、日々の診療で気がついたことをメモし、まとめて出来上がった書だそうです。さらに三年前の発行だから、今からすると古いデータも一部含まれてはいますが、現場の医師が書こう、と思って書いたものだから、それなりに読み応えはありました。
でも思うのは、「上級医」とか(まぁ、これは一般にも使われる語でしょうが。)「下級医」とか、なんか階級の分け隔てを感じさせる語が使われたり、ナース(看護師)への感謝の念は感じられるものの(副病院長をナースにしたらどうか、なんて書いてあった。それはそれで意義深い、と思う。)、リハビリを担当するセラピスト(療法士)への配慮は見あたらない、など、やっぱり「お医者様」が著した本だ、という読後感がぬぐえませんでした。とは言っても、現場の医師から見た医療の矛盾点を告発するのは、それはそれで意義深いですが。
でも、確かにそうだな、と思ったのは、医療に対する不満は、ほとんど大病院に対してだ、というもの。確かに、診療所やクリニックに対する不満というのはあまり聞かれませんな(どこそこの医者はヤブだとかいう噂は流れるけど。)
もう一つ、そうだそうだ、と思ったのは、最近病院ではやたらと患者「様」と「様」をつけることが多いんですが、病人「様」って言われたらどう思います?あまり良い気持ちはしないでしょう。だから、やみくもに「様」をつければ丁寧になる、と思うのは止めてほしいです。
まぁ、up to date な医療問題に興味があるなら、JMM | 村上龍電子本製作所 なんてーのもありますが。ご参考まで。