た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

本の現場

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

本書は、要するに現在の書籍の再販・委託制度を批判しています。
本が一種のニセ金化していて、出版界は一種自転車操業化している。結果、迷惑を被るのは消費者である読者だったりするわけで(実際、書籍が絶版になるサイクルが短くなっていますし(関連論文)。)、これで良いのか?!という問題提起の書ですね。
そういう意味では、書籍の流通に関わる人たちには是非読んでほしい。僕も、その趣旨には賛同するから、買って応援しようかな、と思ったんだけど、裏返して希望小売価格*1を見ると、¥1,800 orz A5のソフトカバーなら、普通は ¥1,200〜1,300 になると思うんだけど。
まぁ、希望小売価格だから、電気製品がそうであるようにその値段から割引して売られるのが本来の姿なんでしょうが、まだそういう状況にはないし、貧乏人「趣味:貧乏」のオラとしてはすぐホイホイ買って応援しよう、という気には残念ながらならない。
結局、そういうことなんですよね。再販・委託制度にもいろいろ問題はあるものの、(日本国内であれば)場所によらず書籍を(安価な値段で)入手できる、のは、再販・委託制度が果たした大きな成果であるわけです。これは、医療保険制度についても同じことが言えるでしょう。いろいろ問題点は指摘できるものの、日本国内であれば、誰でも安価*2に医療サービスを受けられる、というのは日本の国民皆保険制度が果たした大きな役割ですよね。
(10/27追記)読書、というと、若者よりは年配の人がするもの、というイメージがあると思うのですが、あに図らんや、(読書世論調査によると)より多くの本を読んでいるのはむしろ若い世代なんだそうですな。

*1:普通の書籍は「定価」ですが、本書は上のような主張から定価表示をやめています。

*2:患者の自己負担が比較的小さい、という意味。