た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

魚の経済学

魚の経済学―市場メカニズムの活用で資源を護る

魚の経済学―市場メカニズムの活用で資源を護る

漁業経済学*1の本です。要するに、漁業を取り巻くさまざまな話題を、経済学の切り口で読み解いています。なので、経済学の知識がないと少々読みづらい面はあります。筆者は、「酒の肴にでもして…」と語っていますが、オラにはこの肴はちょっと辛すぎる(=難しすぎる)。「短期平均費用曲線」が図のようになる…とか言われても、何のことやら…まぁ、そういったことをさっ引けば(つまり、経済学の予備知識がある人にとっては)、魚に関するいろいろな話題について知ることができ、楽しく読めるでしょう。文章自体は、さほど難しい文章ではなく、読みやすいと思います。
興味深かったのは、(ここでは魚介類のの)食糧自給率は、戦後しばらく減少の一途をたどっていたのですが、

2000年から三年続いた53%を底に上昇に転じ、2007年の概算値は62%となった。

そうですが、これは言わば統計のマジックで、そもそも自給率というのは
自給率\frac{A}{A+I-E\pm S}
ここで、A:国内生産量、I:輸入量、E:輸出量、S:在庫
と定義されるので、*2分母が小さくなれば(つまり、輸入が減って輸出が増えれば)自給率は(見かけ上)大きくなったりするんだとか。なるほどね。そういう、一見わかりやすそうな指標に頼っていると本質を見誤ることが多いんですな。
あと、勝川俊雄公式サイト水産業界でもっとも読まれているブログだそうだ。

*1:ちなみに、この単語でググると、筆者のホームページがヒットした。

*2:おぉ、数式が出てくる辺りいかにも経済学、って感じですな。