た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

見る〜眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

450ページもある本なので、さすがのオラも読みこなすのにチト骨が折れました。ページ数だけではなく、内容もゴツくて、視覚に関するあらゆる(と言いきって良いでしょう)話題を取り上げています。僕は(まぁ大ざっぱに言って)、目が悪い*1ので、それで書名に惹かれてこの本を手に取ったのですが、大変興味深い書であったと言って良いでしょう。まぁでも、どちらかというと、一般向けの書、というよりは、専門家向けの書かもしれませんが。
でも、一般の人でも興味深い(と思われる)ことは多数記してあって、例えば、元々動物の目というのは動くものにしか反応しないんだそうです。だから、テレビの動画広告が成功したんでしょうね。
でもここで注意しておきたいのは、視覚以外の感覚(聴覚・嗅覚・味覚・触覚)はpassiveなのに対して、視覚だけはactiveである、ということです。つまり、見ようという意志を持って初めて「見える」のに対し、他の感覚はその人の意志に関係なく割り込んでくる、と言うことです。だから、極言すれば、本を読むのは「勉強」と言えるけど、動画を見るのはせいぜい「学習」としか言えない、という訳です。
あと、青や緑に比べて赤や黄が目立つのは、眼球内部でのwikipedia:色収差も関係してるんだそうですね。でも、物理学的に言って赤や黄は色あせするのが早いんですなぁ。よくあるでしょ、色あせして見ずぼらしくなってる赤い看板。(最近はあるの、田舎だけか?)
http://ichizo.cocolog-nifty.com/blog/images/2009/03/07/20090307_01.jpg
(12/30再び画像差し替え )
この本の内容をまとめるなら、眼という一大叙事詩をあらゆる角度から掘り下げている、専門家にも一般の人にも勧められる一冊、とでもなりますか。でも、僕が一番印象に残ったのは、「眼で見ているものが全てではない」の一文だったりするのですが。*2

*1:ついでに最近は、耳も悪い、この手の障害を負った人の多くは、鼻も悪いので、要は五感ほぼすべてが当てにならなかったりするんですが…

*2:どうも日本人は、見た目に左右される割合が大きすぎるように思いますね。それはおそらく、日本語が漢字という表意文字を持っていることが一因でしょう。諺にも、「見目は果報の基」なんてーのがあったりしますから。もっとも、「見目より心」なんてーのもあったりしますけどね。でもこれは人気がない模様。ググってみても、ヒットしなかったorz