社会人のための東大科学講座 科学技術インタープリター養成プログラム (KS一般書)
- 作者: 長谷川寿一,黒田玲子,村上陽一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/24
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
インタープリテーションは情報を一回自分の中で咀嚼し、消化し、そしてもう一度発信する
(『この講座について』より)
ということなのだそうです。そんなわけで、科学技術と社会との関わりに関しての講義録が全部で6日分並んでいます。(詳しい内容は、こちらから目次を参照してください。)最終日(第6日目)の、「科学的事実と科学史的意味との相克――冥王星問題」が(記憶に新しいので)興味深かったですね。
で、本書でたびたび強調されていたのは、一つには(商売が絡んでいるものの時には特に)難何でも少し疑ってかかった方が良いのではないか、というような感じのことですかね。例えば、「この食品は保存料を一切使っておりません。」と書いてあることがあったとしても、保存料を使わない代わりにpHを下げて酸性にして、食品を腐らせないようにしていたりするわけです。すると、保存料を添加している食品とそうやってpHを下げた食品とでは、どちらが体に良いのだろう、という問題も生じてきたりするわけですね。まぁそういう意味では、昔学習した知識(人工のものより天然のものの方が体に良いはずだ。)を金科玉条のごとく信じるのではなく、時代時代に応じて新しい知識を身につけ、その都度判断してゆく、というような態度が必要になるのでしょうね。*2
でも、困った話だよなぁ、と思ったのは、(科学的に考えて)正しいことを書いた新聞記者が冷遇され、単に面白い、センセーショナルなだけの話を書いた記者が出世する*3、みたいな社会の風潮です。まぁ、どこの世界にもある話なんでしょうが。*4
よく、「科学的な見方をする。」なんてことを言いますが、これは要するに二つの側面に分けられるそうです。すなわち、二元論*5と要素還元主義*6。これって、考えてみたらきわめて西洋的(キリスト教的)な考え方ですな。なのになぜ東洋の日本で(自然)科学がこんなにまで発展したんだろう、という疑問はまた続くのであった、のであった、のだった。*7
ちなみに、ググって*8みたら、こちらにも別な方の記事がありました。どうぞ参考にしてください。
*1:この言葉の定義がまた問題ですが。
*2:まぁ、面倒くさい、ったら面倒くさい。
*3:あくまでもそういう噂があっただけだ、と断ってはありましたが。
*4:hatenaとか2chはその傾向が激しいような、そうでもないような。
*5:考えている自分と外界とを分けて考える、ということ。
*6:要するに、考える対象を絞り込んでゆく、ということ。
*7:昔高校?の英語の先生が、英語の完了形を正確に訳すならこうなるんだ、とか言ってたけど、本当かな?
*8:Googleで検索すること。ググッと感極まること、ではない。なんか、英語圏でもGoogleはもう動詞化して使われているそうで。wikipedia:Googleの4-1。