た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

戸棚の奥のソクラテス

戸棚の奥のソクラテス

戸棚の奥のソクラテス

帯の宣伝文句によれば、ソフィーの世界×ナルニア国物語(僕は、どちらも未読なのでそのココロがわからないのですが)で、英の中高生に大人気の哲学ファンタジーだそうです。実際、考えさせられるような哲学的問いかけに満ちていて、興味深く読み進めることが出来ます。
いくつか、本書の中にあったメッセージから。

  • 「(理想的な)政治のメッセージとは、はっきりしていて、胸の悪くなるようなもので、下品で、短くあるべきだ。*1
  • 「(商売をする上でのコツ)笑顔を絶やすな、店員が幸せなら客も幸せだ。」
  • 「男と女の神は、昔から、相互理解が不可能だ、って、相場が決まってる。」
  • 「大量の屑の中から、少量の良いものを選びとるには、忍耐と技術が必要だ。*2
  • 「意見の衝突こそ哲学のエンジンだ。」
  • 「(人に)賢いと思わせれば好かれるが、考えさせようとすると嫌われる。*3
  • 「哲学者は当たり前のことをわざわざ説明する天才だ。*4
  • 「常識は、必ずしも信頼できる基準ではない。*5
  • 「死は、それが起こった瞬間、もう死んだものにとっては辛いものにはなり得ない。我々は、死を恐れるようにプログラムされているだけだ。」
  • 「人生は、限られているからこそ価値がある。(死について考えても無意味だから)生きている間は精一杯やれば良いんだ。」
  • 「進歩すれば良いってもんじゃない。」

主人公のベン(Ben?)が、案内役のライラ(Lila? lilac を連想させる名前のようですね。)に惹かれていく様、二人のプラトニック*6恋愛模様も見物ではあります。
まぁAmazonのランキングでも426,216位ですから、やっぱりこういう哲学ものは売れないのかな?でも、興味のある人には楽しめる一冊だと思いますよ。

*1:これなんて、某K泉氏を彷彿とさせますね。

*2:これなんて、ある意味人力検索の意義を説いていることにはならないでしょうか?

*3:だからソクラテスは嫌われ、死刑の宣告を受けたのでしょうか?wikipedia:ソクラテス

*4:だから今日、哲学はあまりパッとしない学問に成り下がってしまったのでしょうね。

*5:僕なりに言い換えると、常識を疑え、ということですな。

*6:そういえば、本作中にプラトンは出てこなかったなぁ。