た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

買い物する脳

こちらの記事から、図書館にあるのを発見し、借りてきて読んだわけですが。

買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界

買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界

人間が言うこととなす事は、しばしば一致しないわけで、したがってアンケートを用いた(従来の)マーケティングは、ある程度は有効だろうが、全面的に信頼するわけにはいかないのです。(言ってみれば、科学と占い師を足して2で割ったようなものだ、と述べていました。)
そこで登場してきたのが、PETやMEG(脳磁図)*1を利用した、ニューロ・マーケティングという訳です。これによって、いわゆる「何となく買ってしまった…」という部分を、なぜ買うに至ったのかを明らかにしよう、という訳です。もちろん、脳の仕組みとその働きがまだ完全に解明された訳では以上、このニューロ・マーケティングにも一定の限界はあるでしょうが。それでも、こういうことがあるんだよ、ということを知っておくことによって、いわゆる衝動買いを防ぎ、理性的な買い物を楽しむことが出来るようになるでしょう、という訳です。*2
調査対象には、米・英・独・日・中の五カ国2,081人が選ばれました。中国はこの先世界最大の新興市場になるのは間違いないですからね。
興味深い言説もいくつかありました。「未知は既知より魅力的だ。」とか。(何かよくわからないけど、スゴそうだ、って奴です。僕はそういう非理性的な態度はあまり好きではないんですけど、そんな天の邪鬼は少数派ですからね。)
あと、野球やサッカーの(ひいきのチームの)勝利による感動は、教会での説教や祈祷と似たようなもんなんだそうです。スポーツに関して言うと、いわゆる「流れ」も(統計的には)あまり当てにはならないんだとか。(本書で紹介されていたのは、バスケットボールの例ですが。)
あと、これはよく言われることだと思うのですが*3、視覚・聴覚だけに頼るのではなく、触覚(手触り)、嗅覚(臭い)、(商品によっては)味覚に訴えた商品選びが大切になるのです。
音も、ただやかましいだけではなく、クラシック音楽のようなゆったりした音楽を流すことにより、公園や駐車馬、地下鉄での暴力行為を減らすことが出来るそうですね。
一つ、ブランド化に成功した例として、日本の関サバの例が挙げられていました。昔は非常に低価格だったんだけど、味と品質を厳しく制限しブランド化することにより、価格が約六倍にもなったんだとか。
なんか、amazonの書評ではあまり芳しくないものも見受けられるようですけど、決してそんなことはありません。商売に携わる人から、一般の読者まで幅広く楽しめる一冊だと思います。
ただまぁ、翻訳本なので、欧米の(現代)文化のバックグラウンドを知らないと?となることが多いのは事実ですが。アメリチップのダイエットペプシ広告が…とか言われても、何のことかサッパリ分かりませんものね。ググってもナゾ…まぁいいや。


ところで、「日本の読者の皆さまへ」で、日本に対して抱いていた誤ったイメージの一つに、「そのうち店員がみなロボットに置き換えられる、」とあったのですが、これは誤ってはいません。部分的には、現実になってますよ。まず、自動販売機がここまであふれかえってるのって日本ぐらいでしょうし(僕が入院していた病院には、飲み物のみならずパンや新聞の自動販売機も完備されていました。僕も、夜中に目が覚めてしまったとき数回利用した記憶がある。)、家の近くの複数のスーパーでは、商品のバーコードを自分で読み取らせて会計・精算をお客自らが行う機械もあります(まぁ、一応監視するための店員はいますがね)。店員のレジが空いていて、機械の方が込んでいることもシバシバ。

*1:全然関係ないけど、どうしてもメグって読んで、メグ・ライアンとかMEGUMIを連想してしまうんだよなぁ…

*2:もっとも、現実の経済は部分的には衝動買いに頼っている面があるのは否定できないでしょうから、

*3:数年前に行った講演会でも、同じことを聴きました。