た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

「私はうつ」と言いたがる人たち

「私はうつ」と言いたがる人たち (PHP新書)

「私はうつ」と言いたがる人たち (PHP新書)

近年は、誰も彼もが「私はうつ病ですから…」と言いたがるわけですが*1、そういう風潮の中で、本当にうつ病の人たちがそれを表現できずに困っているのではないか、といった感じの問題提起がなされています。でも、本書でも何度か指摘されていましたが、一番の問題は、医師の診断書(お墨付き)があれば何でも許されてしまう(逆に言えば、医師の指示がないと何も出来ない)という日本のシステム上の問題かなぁ、と思いました。*2
で、「おわりに」に書いてありましたが、心のバランスを崩す人が増えた最大の原因は、「現代人は悩めなくなった」からではないか、と結んでいたのが印象的でした。全く同感で、現代は次から次へと情報が流れ出てきて、悩む(or考える)ヒマがないのです。この、スピード重視の都市型社会こそが望ましい、と思われる社会構造は、資本主義の元ではもうどうにもならないんでしょうかねぇ?欧米では、少し風向きも変わっているようだ、という報道を目にしたこともありましたけど。(その後どうなったかは知らない。)

*1:ま、私も含めてですが、私の場合外因性の疑いが濃厚なので、明らかに一般人とは区別されます。

*2:例えば現行法では、保険診療のリハビリも、医師の指示がないとやってはいけない。