た-くんの狂人日記

最近はほぼ読書日記

わたしたちはなぜ科学にだまされるのか

わたしたちはなぜ科学にだまされるのか―インチキ!ブードゥー・サイエンス

わたしたちはなぜ科学にだまされるのか―インチキ!ブードゥー・サイエンス

前世紀末に、欧米で出版差し止めキャンペーンまで展開された(ちょっと前だけど)話題の書、だそうです。
今世紀に入っても、その勢いがとどまるところを知らない、科学のフリをしたトンデモ科学を

  1. 病的科学…科学者自身が自分で自分をだます科学
  2. ジャンク科学…司法関係者の科学の知識が浅いことにつけ込み、集団訴訟で企業を食い物にする「集団訴訟科学」
  3. ニセ科学…詐欺でカネもうけをたくらむ「詐欺科学」

の三つに分類し(もっとも、この三つの分け方には拘泥していませんが。)、これをブードゥー・サイエンス voodoo science と名付け、その一つ一つを科学の専門知識のない読者にもよくわかるように平易に説明し、その化けの皮をはいでいきます。その話題の多くが、前世紀末に話題になったもので、今からすると多少古さを感じざるを得ませんが。しかしながら、本書に一貫して流れている本物の科学とエセ科学との間に一線を画し、エセ科学の正体を暴きそれにだまされないようにする、という姿勢は、今日でも得るものが大きいでしょう。
アメリカでも、議会の公聴会はある意味劇場化しているそうです。いわんや日本の政治をや、と思いました。
でも、一番の問題は、トンデモ科学の本は、それを暴こうとする正当科学の本よりもはるかに売れてしまう、という悲しい現実なのかな、と思いました。資本主義の元では、仕方ないのかなぁ。


あと、以前、本を読むときに、頭から読んでいくんじゃなくて、あとがきから読んでみると面白い、という読み方を紹介しましたが、本書のような翻訳本では特に、訳者あとがきを先に読むと良いでしょう。