- 作者: J.H.ブルック,John Hedley Brooke,田中靖夫
- 出版社/メーカー: 工作舎
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
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科学と宗教というと、対立的な概念と捉えられがちですが、本書では全体として両者は互恵的に関わってきた*2、という立場で歴史をひもときながら論説しています。
「自然は数学の言葉で記述されている」と最初に言ったのは、ガリレオ・ガリレイらしいですな。
で、本文から引用しますと、
二十世紀は西洋社会が長い時間をかけて、脱改心ともいわれる文化の再構築を図り、神無しに生きることを学んだ決定的世紀である。
と言えるそうで、まぁ、それはそうなんでしょう。一方で、科学技術の進歩はhttp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/07/06071108.htmのような微妙な問題を生じさせた訳で、これなんかも、聖書では、
汝、殺すことなかれ。
と言っている一方で、
親は子の幸福に重い責任を負うべし
と説いているわけです。結局のところ、宗教に頼るのみでは限界があるんですよね。
だから、いわゆる○○原理主義は危険なのですが、本書で指摘していたのは、世の中が複雑になり、不穏で不確かな時代になったからこそ、(単純に考えられる)原理主義の台頭を許してしまっている、ということでした。*3
遺伝子に関して一つ付け加えるならば、遺伝子は我々の行動を決定しているのではなくて、我々の行動に制限を課している、との見方が紹介されてました。
面白かったのは(これに惹かれてわざわざ借りてきたのですが。)、あとがきに書かれていましたが、科学者の約四割が神や死後の世界を信じているんだそうです。つまりは、一般の人とそんなに大きな違いはないんだそうです。これは、十年ほど前の調査でも80年前の調査でも大差なかったんだとか。科学技術が進歩しているはずなのに、人間の心はそんなに変わってない、ということでしょうかね?
あと、ダーウィンの適者生存の法則も、生物学的に、というより、社会・政治的に利用されることが多いんだとか。
まぁ、チト読み応えがありすぎて気軽に読むわけには生きませんが、たまには良いかもね。年末だし(って、オラは毎日が日曜日だけど…orz)*4