以前ちょっと書いた、
新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで (ブルーバックス)
- 作者: 伊達宗行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/21
- メディア: 新書
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この本、id:shigeami さんにご推薦いただいたとおり、なかなか面白い本です。百種類程度の原子を組み合わせて数百万種といわれる物質をまとめて統一的な理解に至る学問として「物性物理学」をとらえ、その概要を眺めてみよう、といった感じの本です。西洋と東洋で物質に対する見方が違い(例えば「物性物理*3」という言葉を英語に訳そうとしても、せいぜい凝縮体物理 (condensation matter physics)や連続体物理 (continuum physics)がそれに近い訳語となる程度で、ぴたりと来る訳語はない)、そんなことも手伝い、日本で物性物理が爆発的に進歩したのではないか、と指摘していました。
この物性物理の進歩は、単に学問的成果のみならず、パソコンや携帯電話、そしてそれらがもたらしたIT革命へと、我々の日常生活にも大きな影響を与えています。
という具合に、文章もなかなかこなれていて、読みやすい良書だと思います。最近の物理に興味のある方は、是非手にとって一読されてみると良いと思います。まぁ、物性物理だから、今年の話題のノーベル物理学賞とはちょっと畑違いの分野(サラッとは触れているけど、結局他書を参照してほしい、ってことだった。)ではありますが(そして、それは残念な点でもあるのですが*4)。