そんな訳で、次に手を出したのは、この本:
- 作者: 小田光雄
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
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まだ初めの方しか読み進めていないんですが、ここまでの感想を。『』内は引用です。
『近代とは紙の時代であり、それが'70年代あたりに終わった。』現代は、言わば近代的読書から現代的読書への移行の時期、だそうです。
『「薄利多売主義」は、永遠の命は持ち得ない』と。これは、初めは「そうか?」と思ったけど、よく考えてみると一面で真実をついているかもしれない。
『ほとんどすべての人間が文字を知っており、また多かれ少なかれ本を読むからといって、その事実に欺かれてはならない。文字が読めるからといっても、大部分は、自転車に乗れるとか電話が使えるとか、車の運転ができるからというのと同じことであり、賭博師や守銭奴が少数であるように、読書人もまた少数なのである。』(ヴァレリ・ラルボー「罰せられる悪徳・読書」(岩崎力訳))ドキッ
『読書とは「見ぬ世の人を友とし、書物を通じての見ぬ世の人との対話」である。』(徒然草 第十三段)
『つまるところ、'70年代までは出版社→版元→書店→読者→古本屋→読者 というサイクルが出来ていた。(でも私が思うところ、古本屋以降のサイクルが成り立つのは、一定規模(政令指定都市級)以上の大都市圏だけだと思う。)それが、'80年代から'90年代にかけて出版社→版元→郊外書店・コンビニ→消費者*1→ブックオフなどの新古本屋→消費者 というサイクルに変わった。』
とりあえずここまで読んだところをまとめると、「出版業界は、21世紀における新しい書籍流通システムに移行できるのか?」といった問題提起がなされています。
で、ビックリしたのは、この新古本屋っていうのは、本が初版かどうかは関係なく、新しくてキレイな本ほど高く買い取り、基本的に¥1,000の本を¥100で買って¥500で売るような商売をしているんだそうです。また、売れる本の内訳も、コミックが約50%、CD・ゲーム30%、残りを一般書籍、っていう感じなんだそうですわ。
そんな訳で、単純に安いからと言って喜んで新古本屋ばかりを利用していてはいけないなぁ、と思いつつ、一介の(貧乏)消費者としてはやっぱり安い方が良いわけで、今日も、新古本屋*2で新書を一冊買ってしまいました、とさ。ま、昔ながらの書店で文春を買ったから、一勝一敗でいっか。
いずれにしろ、最近は、せっかく買って読んだ本はむやみやたらと新古本屋に売ったりせず、スペースの許す限りは家に置いておく方が良いよな、と思います。また、それに伴い、昔は僕は本にはほとんど線を引かなかったんだけど、最近は、気になった文章に赤線引いたりすることも多いです。(もちろん、自分で買った本には。図書館の本にそんなことをする輩は、シケイ!でしょう。*3)
(10/14追記)
で、最後まで読んだ続きをば。
『ブックオフは、価格破壊型・価格訴求型郊外書店ではあるが、(インパクトを持つ)新業態だとまでは言えない』と言っています。
例えば、食事なんかも、一から自分で作るのならそう易々と捨てられるものではないでしょうが、今や食事も産業化していて、これは単なるエサと同じだから、簡単に捨てられるわけです。つまりは、書籍もそうなってしまったのかなぁ、と。
で、『今やブックオフは無料立ち読み所』としての様相を表しているそうで、休日とか行くと駐車場はいっぱいでも本を買う人はマレだったりするそうで。確かに、ウチの周りでもそんな感じですね。
この本を読んで思ったのは、結局ブックオフ型の店というのは、大量消費・大量廃棄社会(さらには、再販・委託制度)が半ば必然的に生み出した鬼子なんじゃないかなぁ、ということです。文字を生み出した人間社会の行く末は、果たしてどうなるんでしょうかね?